・職場のコミュニケーションが滞り混沌としている
・みんな、心身ともに疲れが溜まってきている
・通常業務と教育、管理業務の並行でマネジャー層が疲弊している
そんなことを感じるリハビリの職場は多いのではないでしょうか??
いつも時代もどんな時も、多かれ少なかれ悩み事は「人間関係」です。。。
職場がどんなによい環境や待遇を用意しても、人間関係が原因で、
「組織の病」となっている状態があります。。。
そこで、悩める組織を救うヒントが、
「ターゲティング戦略」です!!
それは、組織の病を解消し”良い人材が健全に定着する組織を作る”戦略と言われています。
ポイントは2つあって
・「プラスの感情」ではなく「マイナスの感情」に注目すること
・「最も優秀な人材」ではなく「ポテンシャルが高い人材」にリソースを注ぐこと
組織の課題や問題を、あれもこれもと手当たり次第に手を打つのではなく、、、
的確にターゲットを絞り、改善策を図ることで、組織は活性化するという方法が書かれた書籍の紹介です。
著者は医師であり経営修士者!?
驚いたことに、著者の上村紀夫氏は産業医であり経営修士者(MBA)の肩書を持ちながらコンサルティングファームの会社も経営しています。
なので、本書は一般的な経営学やマネジメントのビジネス要素だけてなく、
医師の視点から医学的~心理学的な専門的知識も裏付けられており、非常に納得する部分が多かったです。
それは、著者がこれまでに医師として病院勤務を経て、海外のビジネススクールでMBAを所得した後に産業医として数多くの企業や従業員の面談~コンサルティングを実施した、
実績と経験から体系的に網羅した効率的な組織改革の書籍になります。
リハビリ業界のマネジメントは手探り状態!?
僕の所属している職場は、毎年のように新入職員を迎え入れてきました。
そのため、リハビリスタッフの平均年齢は約27歳前後とかなり若い職場です。
しかし、その分だけ新人教育に力を入れている一方で、中堅やベテランのスタッフは転職したり、同じグループ内の別病院へ移動したりと、入れ代わり立ち代わりが多くなってきました。
僕のような中堅に足を踏み入れた立場でさえも、気がつけば役職になり、
リハビリ部署の運営に携わっています。
ですが、、、
病院の中のこの、リハビリ室という部署ひとつにしても、その運営や経営などの知識、技術はかなり曖昧です。
それは、これまで療法士としてのリハビリ知識や技術しか、養成校や現場で学ばなかったぶん、
マネジメントとしてのスキルは、何となくの経験や浅はかな知識、そして一個人のカリスマ性~人間性的な部分でギリギリの状態で保てています。
そんなリハビリ室の現状は、、、??
医療は常に日進月歩ですから、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の国家資格を取得してもなお、自己研鑽を積み重ねる必要がある職種です。
僕自身も新人の頃は、国家試験勉強よりも就職してからのほうが必死こいて勉強した気がしました(大汗)
そして、療法士の仕事は担当患者さんのリハビリテーションだけでなく、
カンファレンスや多職種との連携、
他病院への紹介状作成や報告書、リハビリ計画書などの書類業務、
勉強会や症例検討会の企画から準備、発表。
はたまた、病院の運営に関わる各委員会活動など、、
経験年数が上がり、スキルがある療法士ほど、
仕事は常に増え続け、リハビリ単位数という名の業務成績を上げながら、
若手スタッフの教育も担うという多忙っぷりです(大汗)
そんな状況のなか、リハビリ部署のマネジメントといえば、、
ごく数人のスタッフによって、数多くの課題をこなしながら
なんとか持ちこたえている感があります。
リハビリ業界は依然として、
療法士としてスキルが高いスタッフが、その後に役職やリーダー・管理職に付く傾向にありますが、、、
マネジメントと療法士としてのスキルは別であることに、みんな気づかず、
「あのリハビリで実績のある先輩療法士が言っているから、
今回の〇〇の取り組みもきっとうまくいくはず」
となってしまします。。。
「名選手。必ずしも名監督にあらず」ということですね。
本書から学んだこと!!
”良い人材が健全に定着する組織を作る”
そんな職場であれば、仕事にやりがいを見出し、患者さんのリハビリも向上心を持って取り組めると思います。
しかし、現実はそう簡単にはいきません。。。
組織活性のベースはスタッフひとりひとりの個人活性で成り立っています。
その個人活性はピラミッド型で形成しており、、、
それは、「心身コンディション」「働きやすさ」「働きがい」の3つで出来ています!
しかも、それぞれがバランスよく安定していることがポイントになります。
特に「心身コンディション」は個人活性の土台となる部分で、かなり重要な要素になります。
しかし、それを「個人の健康問題であり、組織は関与しない」そのような態度では個人のマイナス感情は蓄積することになります。
働く上で基本的な、疲労・将来への不安・自分自身の生活・ストレス・睡眠の質・病気などに目を向けることです。
この「心身コンディション」を確認するためには、上司から部下へ行う個人面談(1on1ミーティング)であったり、会社が実施しているストレスチェック制度です。
管理職・役職者として重要なこと
組織活性のベースとなる、個人の「心身コンディション」「働きやすさ」「働きがい」を考える際に大事なことが、、、
「マネジメントの3要素」の理解が重要となります。
業務管理 | 個人の目標設定や業務計画、指示命令、進捗管理など |
評価 | 部下への評価を行い、それを伝える |
精神的サポート | メンタルヘルスに関するケア、キャリアサポートなど |
最も大切な心がけが、「部下の感情に関心を持つこと」です。
特に1on1ミーティングの主な目的は業務管理ではなく、「精神的サポート」を行うことです。本人に寄り添い、味方である姿勢が求められます。
そうです!現場の上司が部下のココロに興味・関心を持ち何かしらのマイナス感情が蓄積していることを感知して、精神的サポートをすることができれば、個人活性の心身コンディションを保つことは可能になるはずです。
「働きやすさ」VS「働きがい」
近年はコロナ禍の影響もあり、これまで当たり前だったことが、覆ってきています。
例えば、会議を「オンライン形式」にしたり、
会社への出勤ではなく、「在宅でのテレワーク」にしたり、
スタッフが密集する時間帯を避けるため、「フレックスタイム」を導入したり、、、
様々な観点からも多様性を意識した、「働きやすさ」を求めた職場が増加した傾向にあるようです。
さて、本題ですが、この「働きやすさ」。。。
どのスタッフにとっても居心地がよく、ストレスフリーで快適な~感じをイメージします。
ですが、本書では、この「働きやすさ」が職場崩壊のリスクを脅かしているとしています。
それは、職場が用意した、過度なゆる~い環境が、時間の経過とともにスタッフはそれが当然の権利であるかのように当たり前になり、「ぬるま湯系の組織」となっていまいます。
スタッフのための施策が「消極的定着」=「ぶら下がり化」を招くことになってしまいます。
これでは、組織活性の低下がますます泥沼化する現象となります。
「職場に不満はあるけれども転職しない・転職するほどの実力がない・面倒くさい」など、マイナス感情の蓄積があり、なおかつやる気の乏しいスタッフで構成する組織になってしまいます。。。
一方で、仕事に対して前向きに取り組んでいるスタッフの多くは「働きがい」を重視しています。
その働きがいの施策としては、「自分の強みを活かす」ことや「帰属意識を高める」といったように個人の特性を踏まえて、組織の中で適材適所を見出すことです。
今後のリハビリ室のマネジメント戦略は⁉
僕の務めている職場の半分は若手スタッフで構成しています。
やはり次世代を担う、若手の3~5年目の中から、
「ハイポテンシャル人材」を早期に見出す必要があります。
その、「ハイポテンシャル人材」となる要素として、、、
①困難な仕事を選ぶ ②長期ビジョンを持ち前向きに努力している ③どんな困難があっても目的達成のために最後までまっとうする ④問題解決にはいつも明るく前向きに考える ⑤周りの職員が目標としている ⑥自分の実力、能力を図る物差しが外部にある ⑦まず実行して、そして悪かったら修正する ⑧継続的に勉強している ⑨自分なりの案をもって提案している ⑩TakeよりもGiveを重視している
上記の10個の要素が挙げられます。
つまりこれからは、組織として大事にしていきたい、人材像を明確に定義して、そのスタッフが活躍しやすい環境を実現させる施策を行うことだと考えます。
ターゲットとなる人材にリソースを注ぐことですね!
また、組織が目指す行動指針やビジョンなど、その道しるべを全員参加型で作ることも大切です。
「あなたが働く中で”大切”にしていることは何ですか?」
「このリハビリの仕事で”誇り”に思うことは何ですか?」
「どのような療法士を目指していますか?」などなど
管理職や役職者がある程度の方向性を定めた上で、みんなで議論することで納得感が得られ、リハビリ組織の原点や核となります。
組織活性の最大の重要人材となる「ハイポテンシャル人材」の育成が、いまのリハビリ室の課題となっていると僕は考えます!
新人や若手スタッフのお手本となり、組織に良い影響を波及できるリハビリスタッフがいることで、
「どこで働くか?」よりも「誰と働くか?」の方がより重要になると思います。
リハビリスタッフが活き活きと能力を発揮して、患者さんのために頑張り、地域や社会に貢献できる!!
そんなリハビリ組織になるように、「リハビリスタッフのココロに関心を持ち、想像力を働かせて」これからもマネジメントを勉強していきたいと思います。
「リハセラピストのためのやさしい経営学」の本ではハイポテンシャル人材のことを、「コア人材」として記載していましたので、こちらを参考にしました。