2024年10月下旬に沖縄県内にあるグループ病院や関連施設のリハビリテーション専門職が一同に集まり、学術発表会を行う予定です。
その学術発表会のメインコンテンツとなる口述での演題発表。。。
ですが、発表枠に限りがあるため、当院の口述発表の数を絞るため、セレクション会議を行うことになりました。
そのセレクション会議までの各チームの取り組む様子や選考基準の考え方、実際の会議の様子を記事にしました。
リハビリ学術発表会の演題数
まず前置きとしてね。
当院リハビリテーション室の演題のエントリー数は全部で8つ(A~Hチーム)あります。
Aチーム:PT整形外科メンバー
Bチーム:PT脳血管疾患メンバー
Cチーム:PT心臓呼吸メンバー
Dチーム:PT外科がんリハビリメンバー
Eチーム:OTチームメンバー(ハンドセラピィ)
Fチーム:OTチームメンバー(病棟マネジメント)
Gチーム:STチームメンバー(自動車運転支援)
Hチーム:PT腎臓リハビリ
各チームとも、リーダーはじめメンバーみなさんの頑張りで抄録を仕上げてくれました!!
忙しい中、抄録作成や発表に向けて、日々の臨床業務を頑張っていますので、なるべくして、全チームが発表の機会を作れたらいいのでしたが、、、
学術発表会の時間的な制約もあり、発表枠に限りがありました。
その数、11演題まで。
そして、前提として、、、
今回の学術発表会は当院が開催ホストとなっているため、沖縄ブロックのグループ関連の他病院、他施設の発表を優先することとしました。
そしたら、嬉しいことに他病院・他施設からは5演題のエントリーがあったんですね。
ここの5演題はエントリーの時点で採用です。
そんで、当院リハビリテーション室のチーム数が8つあります
問題はここからで、、、
実際に当院からは6演題が採用で、2演題が落選ということになります。
さて、この採用基準をどのようにして決めて、選考するのか?
頑張ったみなさんが納得できる、選考を目指してセレクション会議を開きました。
学術発表会に向けての各チームの動き
この演題発表に向けての、各チームの取り組みに関するプロセスは様々です。
やはり各チームの特色が現れて、リーダーの統率力などが垣間見えました。
というのも、月一回ごとに、各チームの進捗状況を確認するリーダーミーティングを開いていたため
あるチームでは、学術発表会に向けて、定期的にチーム内ミーティングを開き、メンバーが協力して取り組んでいるところもあったり、
自分たちの日々のアプローチをそのまま成果として、アピールポイントを明確にして準備しているチームもあったり、
過去の業務内容を見直して、関係する病棟看護師さんや同職種のメンバーにアンケート調査をするチームもあったり、
はたまた、準備してと言われたから何となくテーマを選んでいるチームもあったりと、
ここまでに至るプロセスは千差万別だなと、僕は感じていました。。
それは、定期のリーダーミーティングで提出される、経過報告書を見たらわかるものがあるんですね。
イメージはこんな感じです↓↓↓
シートには発表のテーマだけでなく、このテーマを選んだ理由、どんな内容を発表予定なのか?なども問われています。
内容や経過を月一回のミーティングで、人数分コピーして、毎回全リーダーの前でシェアすることで、自分たちチームが周りに対して、どの程度の進捗状況なのか?も把握することが出来るようにしました。
これには意図があって、
各チームリーダーたちが他のチームと横の関係の中で、
現在の進捗状況なり、内容のクオリティなりを知ってもらい、切磋琢磨出来るような設定をあえて作りました。
この辺は、運営側から「演題発表の準備しておいてね」と言われるよりは効果的だったかなと思います。
モチベーションは大事です。
セレクション会議の内容設定のお話
さて、当院のリハビリテーション室からは8演題がエントリーしましたが、実際に採用するのは6演題です。
この8演題中、6つを採用して、2つを落選にする基準を設けることに非常に苦慮しました。
そこで参考にしたのは、この書籍です。
「ゼロ秒思考 行動編」の書籍に記載されている「オプション」という考え方を取り入れました。
ざっくり説明すると、この本で「オプション」とは、、、
「取り得る施策を複数挙げ、比較し評価する思考法を指す」
と記載されていました。
本書ではわかりやすい例えが記載されていましたのでニュアンスを紹介しますね。
それは「年末年始の家族の過ごし方」といういう設定で、
・自宅でのんびり過ごす
・実家に帰る
・県内のホテルで過ごす
・台湾などの格安海外旅行に行く
という選択肢(オプション)を挙げます。
そして、ここからが大事で、、
オプションを評価する最適な方法として、
その評価基準を目的に即して、4~5個を用意する必要があるとしています。
そうです!
評価基準が今回のセレクション会議のミソなんですよね。
そして、先程の「年末年始の家族の過ごし方」の例えで言えば、
家族団らんの趣旨からは、、
・楽しさ
・目新しさ
・親孝行
・費用の小ささ
などが、家族の構成や環境によって考えられるとしています。
そして、それぞれのオプションは「◎◯△☓」のマークで評価します。
◎・・・4点:非常によい
◯・・・2点:良い
△・・・1点:普通
☓・・・0点:微妙
イメージはこんな感じです↓↓↓
まぁこれは、あくまでも書籍の例ですが、実際のセレクション会議におけるオプションは各チームの演題であり、大事なのは評価基準を用意することでした。
セレクション会議までの具体的なステップ
その重要となる評価基準を各チームのリーダーに考案してもらいました。
それはなぜか?
それは、、、
「自分たちで考えて、発表意欲を持って取り組める」という主体性が大事だからです。
ただ発表しれと言われたから、準備しました。とならないようにですね。
だからこそ、くじ引きやじゃんけんにしなかったし、評価基準も各チームで考えて責任を持って自己採点してもらった経緯があります。
そうすることで、やらされ感はなく、自己採点の評価が高ければ、自信の表れとなってプレゼンテーションもしっかり準備してもらいます。
その意思表示の確認の意味でもありました。
ここまでをまとめると具体的なステップとしては、、
「選考方法の仕方をリーダー達に理解してもらう」
セレクションが、学会長や実行委員長などの役職者側だけで決めずに、みんなの合意を得て執り行うことを伝えました。
「事前にデモンストレーションを実施してセレクション会議を体験してもらう」
ゼロ秒思考の書籍の中にある「年末年始の家族の過ごし方」の例をだして、実際にリーダー達にデモンストレーションを体験してもらい、イメージを共有しました。
「セレクションの方法に関して異論があれば事前会議の段階で意見を募る」
これは、リーダー達の合意のもとで進めていくので、「そんなつもりはなかった」とか「最初からこういう方法はだめだと思っていた」など、後出しジャンケンが始まると話がまとまらなくなってしまいます。なので、事前に周知徹底して理解と合意を得ることが何よりも大事でした。
「リーダー達に評価基準を考案してもらう」
これはどのチームにも対等に扱うという意図があります。あくまでも皆さんの学術発表会である意味を伝えました。なので、各チームリーダーから1つずつ評価基準を挙げてもらいました。
「評価基準の詳細内容をリーダーから改めて、他のリーダーに伝える」
実際のセレクション会議では、リーダーから評価基準の理由や具体的な内容を説明してもらいリーダー同士で確認を行いました。
実際のセレクション会議の様子とその結果
10月上旬に各リーダーたちが集まり、8演題中の6枠をかけたセレクション会議を行いました。
こんな感じです↓↓↓
前項の具体的なステップ5にあるように、改めて評価基準の内容をリーダーから共有してもらいました。
それぞれのリーダー達に評価基準の認識の齟齬があると点数に乖離が生じるので、ここは丁寧に進めていきました。
そして、評価基準が似ている項目に関しては、まとめて1つの項目としました。
そうしたら、全部で項目は5個になりました。
・転用度:臨床や他の職場でも汎化できるか?
・わくわく度:リーダーやメンバーが楽しんで取り組めたか?
・目新しさ:過去の取り組みからの引き継ぎではなく、新しく試みたか?
・将来性:今すぐに活用できなくても、今後に繋がるかどうか?
・発想力:今回の取り組みに工夫があったかどうか?
ここからは、各リーダー達による自己採点です。
それぞれが、その項目に対しての自己評価を点数ではなく「◎・◯・△・☓」と発言してもらいます。
それは、自己評価を低く見積もってしまうリーダーにも、フランクに発言出来るようにしているんですね。
そして、結果がこの通りになりました!
1位:18点 Bチーム(PT脳血管疾患メンバー)
1位:18点 Hチーム(PT腎臓リハビリメンバー)
3位:16点 Fチーム(OT病棟制マネジメント)
4位:14点 Cチーム(PT心臓呼吸メンバー)
5位:10点 Dチーム(PT外科がんリハビリメンバー)
6位:9点 Eチーム(OTハンドセラピィ)
そして、残念ながら落選したチームが、、、
Aチーム(PT整形外科メンバー)とSTチーム(自動車運転支援)だったんですね。。。
この結果を受けて学会長からは、今回の学術発表会にSTからの発表がないため、ぜひSTには口述発表をしてもらいたいと希望がありました。
で、ここからは、僕の反省です。。。
この自己採点したときの、1つずつの結果(◎なり、◯なり、△なり、☓なり)に対して、会議のファシリテーターである僕がその理由を伺ったほうが、会議に参加しているリーダー達の納得感があったと、
今振り返って反省しています。。。
もっと、もっと丁寧に進めるべきでした。
終わってみて、結果はどうであれ、なにかモヤモヤする感情が残ってしまっていました。
それが、自分の中に腑に落ちない部分として、その自己評価の理由の確認だったのかなぁと思っています。
とはいえ、このセレクション会議の結果から、再調整してくれるチームがあったため、、
今回は特例でSTチームと入れ替えもらうことになりました。
これまでの経緯を見てきたので、僕の募る思いもあるんですね。
次回の記事では、その学術発表会に参加するリハビリスタッフの皆さんに意義を持つことの大切さを記載しました。