「病棟とADLの仕事がしたいです!!」
ただそれだけの想いで、脳神経外科病棟の看護師長のところへ直談判しに行きました。
それが、およそ3年前の話です(笑)
常々、急性期病院のOTとして、「急性期リハビのADLとは何ぞや⁉」ともやもやしている自分がいました。。。
そんな中、同期入職の仲間とたった3人でADLチームを立ち上げることになりました。
僕の中で仕事のやりがいが生まれた瞬間でしたね!
OTとしての専門性を発揮して、患者さんにも他職種にも必要とされるような存在意義を見出したい!
そんなこんなでADLの取り組みが約3年経過しましたので、
得られた経験や成果。またその課題を記載していきたいと思います!
急性期リハビリのOTとしての悩み~
「病棟看護師からみたOTとは?」
急性期病院で働いているOTさんは気にしたことがありますか??
ひとくくりに”リハビリ”と伝えても、病棟看護師さんは
リハビリ職 それぞれの専門性まではしっかり理解していないと思います。
「OTって何ですか?」が率直な意見じゃないですかね(笑)
例えば、、、
離床してくれる人、運動してくれる人
→これはPTだと思っている!
食事のリハビリの人
→これはST!
にしか認識していないかもです(笑)
少なくてもウチの職場はこんな感じです。
なので、OTがどんなにリハビリをしても、
「看護師さんのカルテには何時何分にPT介入した~」っていう書き方になるんですね。。。
また、患者さんを迎えにいって、病棟の看護師さんに
「OTの○○です。患者さんのリハビリ行ってもいいですか?」って伝えても、、
「えっ⁉ さっきもリハビリの人来ましたけど、、、」ってなります!
OTって何?みたいな顔になるんですね。
これが、非常に多いです。
これはですね、、OTとして死活問題なんですね~
OT部門としての課題
なぜ、ここまで病棟スタッフへOTの存在意義が認知されていないのか?
その課題として、OTスタッフに共通していることが、
「ADLに対しての取り組む姿勢が希薄であり、
作業療法(OT)でのリハビリが病棟ADL場面への汎化へと十分に展開していない!」
そうです!ADLに対するマインドが足りていないと思いました。
よくよく患者さんを観察していると、
例えば。。。
・リハビリ場面では端座位を獲得しているのにも関わらず、、
→入浴は機械浴で行われたり
・失語症の患者さんでも意思表示ができるのに、、、
→トイレ誘導が行われず入院時からずっとオムツ着用していたり
・移乗が軽介助で出来れば、離床してデイルームで患者さん同士で集まって食事するような環境設定が可能なのに、、
→食事はいつまでたってもベッド四点柵で囲まれて一人で食べていたり
そのような状況が多々あります。。
つまり、僕らOTのリハビリテーションっていうのは、
「何をするか⁉」ではなくて、
「何のためにするか⁉」
この視点が大事ですね。
大切なことはADL訓練だけではないです。
輪入れのこういう使い方が、更衣動作の訓練になりますよ~とか、
ペグボードのこういう使いかたが、お箸操作のどうとか、、
そういう話だけでなくて、
ADLの大きなくくりとして、アプローチやマネジメントのことを主体に
もっと興味と誇りを持って仕事をすることが大事です。
OTのあるべき姿とは⁉
患者さんが病棟生活で困ったことが起きたら、
看護師さんから担当OTに相談や連絡がくる!!
例えば、、、
「○○さん。尿意の訴えあるけどトイレ動作ってどう?」とか。
「ここ最近、動きよくなってきた感じがすから、
入浴は機械浴から介助浴に変更できるかな?」とか。
それはもちろんOTからも働きかけるし、看護師からも相談がある。
そんなやり取りが生まれると、OTとしての必要性を感じますね。
そうして、ADLチームの目標としては、
・OTが病棟ADLに関する専門職であることの認識を広めること
・ADLに関する協力関係を構築し病棟内での生活行為向上をマネジメントできるようになる
まずは、ADL連携を取り組むにあたって、
OTのマインドから奮起を促したいと思いました!
多職種連携は仲良しこよしではない⁉
病棟とADL連携を始めるにあたって、
OTがこれからやるべきことととして、
〇病棟スタッフの名前を覚えましょう!
〇ADL場面の観察をしましょう!
→まずは、、食事場面の評価をしてみましょう!
この2つをOT部門のスタッフに伝えました。
この辺に関しては、新人さんも特別な技術や知識、経験が必要ではないと思うんですよね。
自分の担当患者さんか、どんな風に食事しているかな~って感じで興味を持つところからですね。
どんな姿勢で、食欲はどうで、とかね。
初歩的ですけど、そこから取り組む必要がありました。
また、病棟スタッフを名前で声掛けして、やり取りすることです。
お互いの仕事内容や役割を理解することです。
「ADL」という共通認識のもとで協力関係を構築することが大事です。
そして多職種連携で大事なことは、ただ単に仲良しこよしではないです。。
重要なことはADL連携に潜む「リスク」や向上の「ヒント」を円滑に情報共有することです!
例えば、、、
軽度の右片麻痺でスプーン操作が拙劣になった患者さんかいたとき、
OTが太柄スプーンの自助具を試して、食事が上手くいったとします。
それを見ていた看護師さんが、太柄スプーンの活用を認識します。
すると今度は別の患者さんで、食事動作が上手くいかない様子をみて、、
「そういえば、この前OTが自助具を使って食事がスムーズになった患者さんがいたなぁ」
っと思い出し、太柄スプーンの提案を担当OTに相談する。
これが、連携のあるべき形だと思います。
リハビリスタッフが知っていることを看護師さんが知らなかったり、
看護師さんが知っていることをリハビリスタッフが知らなかったり。
それをADLという共通言語で情報共有したい。
ちょっとしたことですけど、お互いが情報共有を怠ると
それは、まわりまわって、いつかは患者さんに影響するんですね。
だからこそ、他職種間の信頼関係が大事になります。
問題はリハビリ室ではなく生活場面で起こっているんだ!
今思い返すと、ADL連携という想いだけで、
ほぼノープランで病棟師長のところへ相談へ行ったことはいい思い出ですね。
受け入れてくれた師長さんに感謝です。
勢い大事(笑)
そして、ここから病棟からもADLメンバーを2名選出して、
定期的に病棟ーリハビリ間のミーティングを重ねていき
患者さんのADL状況を視覚化することになります。
それが「ピクトグラム」の活用です。
どれだけ、リハビリ室でパフォーマンスが向上しても、
病棟生活で1日中、横になったまま過ごしては意味がないです。
「ここまでADLが出来るんだよ!」という視覚的な情報を共有する取り組みですね。
次回はピクトグラムの導入に至るまでの経緯を記事にしたいと思います。
多職種連携を行ううえでのコミュニケーションであったり、
相互理解、ADLチームという、小さな組織を運営する中での
チームビルディングなどが、リハビリや医療マネジメントとして
全体的に網羅しています。
今での参考にしている1冊ですね。