第2回「ちゅら島の移動を考える会」合同研修会レポート③
これまでの歩みと、これからのビジョン
この記事は、
第2回「ちゅら島の移動を考える会」合同研修会レポートの**最終回(レポート③)**です。
- レポート①:OTから免許センターへ届けた“リアルな質問”と、道路交通法・安全運転相談のいま
- レポート②:自動車学校からの事例共有と、実車評価をめぐるグループディスカッション
に続き、今回は
「ちゅら島の移動を考える会の『これまで』と『これから』」
をテーマに、午後のセッションと
その後に行ったオンラインミーティングでの振り返りの内容も含めて整理していきます。
01|ちゅら島の移動を考える会のこれまで
「ちゅら島の移動を考える会」は、2019年ごろに立ち上がった、
医療機関・自動車学校・運転免許センター(公安委員会)が、
ゆるやかに連携しながら運転再開を支える“協議の場”
です。
これまでに、少しずつ取り組みを積み重ねてきました。
- 病院評価 → 実車評価 → 診断書 → 安全運転相談
という、一連の流れの整理 - OTと指導員・免許センターをつなぐ
連携シート/実車評価シートの作成と運用 - オンラインも活用した事例検討会や情報共有の場づくり今後の方向性の検討
そして2025年には、カデナ自動車学校も新たに加わり、
第2回の合同研修会として今回の対面研修が実現しました。
参加したOTからは、
「立ち上げのお話を聞けたことで、この会の継続の意義を感じた」
という感想もあり、“点と点”で続いてきた取り組みが、
ようやく**“線”として見えてきたタイミング**でもあったように感じます。
02|原点をもう一度確認する:「訓練」から「評価と協働」へ
午後のセッションの最初のテーマは、
1. 原点を振り返る
でした。
ここであらためて共有されたキーワードは、次の3つ。
- 協働
- 再開支援
- 原点回帰
立ち上げ当初は、今よりも**「運転訓練」**に重心が置かれていた時期があります。
しかし話し合いを重ねる中で、少しずつ軸が変わってきました。今後の方向性の検討
- 「訓練すればなんとかなる」ではなく、
“今の能力で安全に運転できるか”を評価すること - その評価をもとに、医療と自動車学校が一緒に再開を支えること
という、「評価と協働」の関係へとシフトしてきたのが、
ちゅら島会の大きな変化です。
背景には、
- 「数年後の自分や家族が、同じ立場になったときのために」
- 「犠牲者を出さないために、でも“できる人”にはきちんと戻ってもらうために」
という、関係者それぞれの思いがあります。

03|いまの“強み”と“課題”を整理してみる
次に、会の現状を
- 強み(うまくいっていること)
- 課題(これから改善したいこと)
に分けて整理しました。
● 強みとして挙がったこと
- 医療・自動車学校・公安の三者協議が機能している
- 連携シートがあることで、現場の情報共有がしやすい
- 相談体制が整い、対象者・家族への支援が具体的な形として実感できている今後の方向性の検討
実際に、
「医師やST、他職種の仕事を知るきっかけになった」
「補助装置の考え方や、免許課とのスタンスの違いを確認できてよかった」
といった感想もあり、
“顔が見える関係”としての連携が育ってきていることがうかがえました。
● 課題として挙がったこと
一方で、いくつかの課題も挙がっています。
- 支援対象の拡大
- 高齢ドライバー
- 発達障害のある方
- 運転中断・代替手段のサポート など
- 自動車学校のキャパシティ不足(繁忙期・人材育成)
- 県内の病院間での情報発信・参加状況のバラつき
- 勉強会やQ&Aの情報が届いていない医療機関・教習所があること今後の方向性の検討
まとめると、
「三者協働という“仕組み”は整ってきた。
これからは“広がり”と“深まり”のフェーズ。」
というのが、参加メンバーの共通認識でした。
04|描いた未来像:人が変わっても続く仕組みへ
現状整理をふまえて行ったのが、
3. 未来像・ビジョンメイキング
「5年後、どうなっていたらいい?」をテーマに話し合いました。
● 共通していたゴールイメージ
- 「継続可能な仕組み」、「人が入れ替わっても続く基盤」をつくる
- 指導員や職員の病気理解を深め、誰でも対応できる組織文化にする
- 医療側は、運転支援の流れを統一し、診断書作成まで一貫した支援を行う
- 公安委員会は、円滑な再開支援と
テレビ・新聞などを通じた社会啓発を進める - 教習所は、認知症検査や実車評価の限界も踏まえた
より実践的な評価体制を整える - OTは、後輩育成と多職種連携をさらに強化していく今後の方向性の検討
そこから出てきたまとめの一文が、とても印象的でした。
「人が変わっても続く仕組み」
「社会全体が理解する文化」へ。
5年後には、県民が
「運転支援=安全と希望をつなぐ仕組み」
と自然に認識している状態を目指したい――
そんなビジョンが共有されました。
05|これからのアクションプラン
ビジョンだけで終わらせず、
4. 行動計画(Action Plan)
として、具体的な一歩も整理しました。
● すぐに取り組めそうなこと(短期的アクション)
- 医療職・自動車学校それぞれが、
お互いの検査・評価を体験し合う場をつくる(検査体験会など) - 研修で学んだ内容を、各職場でミニ勉強会として共有する
- 運転支援に対応できる自動車学校を少しずつ増やす働きかけ
- SNSやインスタ、県士会メールなどを通じた広報の強化
● 中長期で育てていきたいこと
オンラインミーティングでは、次のようなアイデアも出ています。令和7年度 第2回ちゅら島会 議事録
- 名護自動車学校での実車評価研修
- 路上での症状に合わせたコース選定
- ドライブレコーダーを活用し、記録を院内に持ち帰ってフィードバックする流れの検討
- 県内OTへのアンケート・意識調査による現状把握と課題の見える化
- 県外の講師(他県の自動車学校マニュアル作成に関わった方など)を招いた研修会
- 高次脳機能障害に関する新法や、拠点病院の普及事業とも連動した啓発活動 など
最後に共有されたメッセージは、
“制度の拡大”よりも、“理解の深化”を優先する。
小さな一歩を積み重ねて、県全体の共通認識にしていこう。今後の方向性の検討
というものでした。
06|初参加メンバーの声から見えたこと
今回の合同研修会には、
ちゅら島会の研修に初めて参加したメンバーも多くいました。
そのグループから出てきた声が、とても心強いものでした。今後の方向性の検討
- 実車評価の流れや、ハンドルノブなど装置の理解が深まった
- 他病院の高次脳機能検査の内容を共有できて勉強になった
- 医療・自動車学校・公安の連携が**「密で手厚い」**と感じた
- グレーゾーンの方や再開が難しい方への、代替手段のサポートにも関わっていきたい
まとめとして挙がったのは、
「知ること・つながることへの感動が大きかった」
「支援対象を広げていきたいという気持ちが、自然に湧いてきた」
という言葉でした。
ちゅら島会の“これから”は、
すでに若手メンバーのなかで静かにスタートしているのかもしれません。
07|おわりに:これまでの歴史の上に、次の一歩を重ねていく
第1回の連携づくりから始まった「ちゅら島の移動を考える会」は、
- 「訓練」中心だった時代から
- 「評価と協働」による再開支援へと舵を切り、
- 医療・自動車学校・公安の三者が、
お互いの専門性を持ち寄りながら**“顔の見える関係”**を築いてきました。今後の方向性の検討
第2回合同研修会と、その後の振り返りを通して見えてきたのは、
「人が変わっても続く仕組み」
「社会全体が理解する文化」へ、ゆっくりと進んでいくこと。
この記事が、
- ちゅら島会にこれまで関わってきたメンバーの共通の振り返りとして
- これから参加してくれる仲間への、**小さな“入り口”**として
役立てばうれしいです。
そして、5年後・10年後に
「あのときのちゅら島会の試行錯誤があったから、
今の運転支援の文化があるよね」
と振り返れるように。
これからも一歩ずつ、みんなで“ちゅら島の移動”を育てていけたらと思います。


