ADL訓練の基本原則は「目標指向的アプローチ」である!
突然ですが、この記事を見てくださっているリハビリスタッフの皆さんに質問があります!
今日、リハビリ介入に「関節可動域訓練」や「マッサージ」を取り入れた方いますか?
その「目的」は何でしょう?
なんのために行ったのでしょうか??
なにも関節可動域訓練やマッサージ、リラクゼーションなどがリハビリのアプローチとして不十分であるとは思わないですよ(笑)
もちろん、リラクゼーションを通して患者さんとコミュニケーションを図り信頼関係を築くことだったり、生活背景を聞くことともあります~
実際に僕もそうしていることもあります。
しかし、ADL訓練・アプローチで大事なことは
「何をするか?」ではなくて、、、
「何のためにするか?」の視点で介入することが大切になります!
このマインドを「目標指向的アプローチ」と言います。
ADLにおける療法士の役割とは?
療法士はADLの遂行が難しくなっている動作の要因を「分析」し、機能レベルでの訓練を実施します。
訓練した動作能力の実用性は病棟で看護師、介護士により日常の病棟生活の中で検証され、徐々に病棟場面へと汎化していくことが理想かなと思います。
つまり、、、
・日常生活に繋がる機能の向上を図ること。
・生活動作をシンプルにすること。
・生活環境を適切にすること。
ちなみに、シンプルにするってことは、円滑に最適化をはかることです~
普段、病棟生活において看護師や介護士ほど深く関与していない療法士がADLの改善に向けてできることっていうのはこの辺かな~っと思っています。
機能低下を生じても
日常生活能力が低下しない方法を考える!
リハビリスタッフ、療法士の大切な仕事のひとつですね。
ADL評価の視点は「分析」と「可能性」を見出すこと!
療法士が行うADL評価のツールとしては「FIM」と「Barthel index」が有名ですね。
ADLの実施状況やADL能力を点数化することができる優れたツールです。
ですが、この点数をつけるときに大事なことは、だたADL動作が「できる」or「できない」だけでなく、
・なぜできないのか?
・どのように行っているのか?
・どんな環境であればできるのか?
・どこをどの程度介助したらできるのか?
など、ADLの中身とか動作の質も踏まえて評価できると素晴らしいと思います。
例えば、立ち上がり動作ができない患者さんに、何回も反復して立ち上がり動作訓練を行ったとして、
スムーズに立ち上がり動作が可能になるか?と言えばそうでもないような気がするんですよね(笑)
立ち上がれないのであれば、なぜ立ち上がることができないのか?っという原因を考えることが大切かなと思います。
下肢筋力が低下しているのか? ベッドの高さが低いのか? 姿勢反射が遅延しているのか?などですね。
「なぜ?」
を繰り返すことのできる、考えるリハビリテーションが重要です!
この辺の話は「考える作業療法」を参考にしました。
「課題」「環境」「個人」を診る臨床力が療法士に問われる
つまりADL評価~訓練で重要なことは、生活動作を遂行するにあたって、そのやり方や行程を分析すること。そして、そのADL動作の失敗を修正し成功体験を繰り返すことが自立に繋がるADLアプローチとなります。
例えば、トイレを自立したい!とひと言でいってもその行程は、
これだけでも、ざっくりとして13行程以上はあります。トイレ動作とひとつにしてもこれだけの行程を踏まえて考える必要があります。
そしてこれらの生活行為というのは、課題と環境、そして個人によって構成され成り立っています。
急性期リハビリのADLの難しさ
急性期病院で勤務している僕としては作業療法士としてADLの難しさは常々感じています。
救急車で運ばれた患者さんはその日から生活が始まっています。それはもう大変なことです。
そして、急性期リハビリではよく予後を想定することが大切と言われてます。
難しいことに急性期での生活やリハビリはここで完結しないからです。
今後見据えている先が在宅生活であるならば、そこで食事動作なり、更衣動作なり、トイレ動作なりができたらいいってことで、何も急性期のうちで無理やり完結しなくてもいいんですね。
大事なのは、その可能性を、ポテンシャルを見出すことかな~と思っています。
そのできるであろうADLの可能性が広がれば、広がるほどいいし、バリエーション(例えば、右手すりしかないトイレしか排泄動作ができない状況じゃなくても、手すりがないコンビニのトイレでもできる立位バランスなりができたらいいよね)が多彩なほど、その方のQOLって高まるんじゃないかな~って思います。
1年目の頃から「急性期のADLとはなんぞや?!」と自問自答している日々ですね。
長くなったので続きは次回にします(笑)