2025年現在の日本の作業療法士の有資格者は約11万人ちょっとです。
その11万人の作業療法士中の約50%(約6万人)が日本作業療法士協会に所属しています。
約10年前の協会誌(2015年)では、組織率は約70%であり、徐々に下降傾向にあるみたいですね。

現場の肌感覚でも、リハ職のうち協会に加入しているのはだいたい半分くらいのではないでしょうか??
そんな中で日本作業療法協会は2025年にこれまでの教育制度を大幅に見直しました。
・そもそもなぜ制度を変える必要があったのか?
・これからのOTに何が求められるのか?
・認定作業療法士を目指す意味って、本当にあるの?
こうした疑問に、制度の背景や政治の動き、そして僕自身の考えも交えて考察してみたいと思います。
認定作業療法士とは何者か?
作業療法士が国家資格合格後も学び続けて質を高め対象者の医療や介護、福祉など健康に貢献するために1998年に日本OT協会として、「生涯教育制度」を作りました。
その後、2004年に「認定作業療法士制度」が始まったとされています。
そして、日本OT協会が定義している認定作業療法士とは、、
臨床・教育・研究・管理運営の分野で、一定以上の能力があると協会に認められたOTのこと
としています。
その認定制度の目的としては、
1.作業療法士の質を上げる
2.臨床能力の水準を保ち、さらに高める
3.専門性と社会的地位をしっかり確立する
つまり、認定作業療法士の育成は、国民の健康増進に繋がることが制度の大きな目的なのです。
日本作業療法士協会が公表している2025年度版の解説書は下記のURLからご覧ください。
https://www.jaot.or.jp/continuing_education
認定作業療法士の申請および更新に関する手続き等解説書-2025年度5月版ー
かなり長くて固い印象を受けますよね笑
田中まさし議員の政治活動から考える認定制度
2025年夏の参議院選挙の前に沖縄に来ていたんですよね。
なので、同僚といっしょに田中議員の決起集会&活動報告会を聞きに行ったって感じです。

リハビリテーション業界としては、国政にリハビリ専門職の国会議員を出すことは大変重要な意味を持っている様子でした。
というのも、我々OTの給与の殆どは国の診療報酬制度によって決まっています。
例えば僕が努めている、急性期総合病院のリハビリテーションだと、
脳血管疾患の患者さんを20分間(1単位)作業療法のリハビリを実施したら245点(2450円)です。
これは、どんな内容の作業療法でも一律同じ価格設定です。
つまり、新人OTがリハビリしようが、経験値のあるスキルを持ったOTが介入しようが、同じです。
それは、患者さんの状態の変化に変わらず、得られる診療報酬が一緒なんですね。
では、どうやって「差」が生まれるか??
田中議員は、
「認定資格を持つ療法士は質が高いという証明があるため、診療報酬制度に反映すべき」
と厚労省に働きかけていたそうです。
そこで、関係省庁の職員は各リハビリ専門職の生涯教育制度を調査しているみたいですね。
つまり、研修内容や認定作業療法士のレベルが、本当に診療報酬制度の加算や条件に妥当なのかどうか詳細にチェックしているとのことです。
ただ、ぶっちゃけ認定療法士がリハビリしたら加算がつくことは難しいみたいで、
どちらかというと「施設基準の一部に認定資格保持者が含まれる」といった間接的な形になる可能性が高いようです。
例:
・心臓リハビリテーションの専任・専従要件
・がんリハの認定者配置
・臨床実習指導者講習会の受講者のスーパーバイザー要件

とはいえ、残念ながら2025年夏の参院選の結果として、田中まさし議員が落選しましたね。。。
今後、リハビリ専門職の声が政治に届きにくくなることが懸念されます。
それでもOTの二極化が進むかもね
リハビリ専門職の国会議員がいなくなっても、作業療法の価値が失われるわけではありません。
ただし、診療報酬・介護報酬の改定が進む中で、リハ職が制度的に冷遇される可能性は否定できません。
だからこそ、これからのOTには「証明される努力=正規の研鑽ルート」が必要になってくると感じます。
つまり、
- 登録作業療法士
→ 認定作業療法士
→ 専門作業療法士
という正式なキャリアパスにのることが、将来の安定や信頼につながると考えます!
僕が考える「認定OTを目指す意義」
もちろん、認定を目指さない理由も人それぞれです。
時間・お金・職場環境……それぞれにおかれている事情はさまざまです。
ただ、こうも感じます。
「なんとなく」自己研鑽を後回しにしてきた人ほど、待遇や環境に文句を言いやすくなるのでは??
認定を取ったからといって、劇的に給料が上がるわけではありません。
でも、それでも目指す価値があると思うのです。
つまり、僕が考える認定作業療法士を目指す意義としては、、
自己成長と周囲からの信頼を得られる存在であること
だと考えています。
・専門職としての成長の証
・職場やチーム内での役割の確立
・キャリヤと収入の安定
今後、どうなるのかわからないリハビリテーション業界だからこそ、
「認定OTって意味ある?」と迷ったときこそ、
一歩踏み出す価値があるのではないでしょうか。
確固たる専門性を確立できるOTが生き残るかもしれないですね。