2025年から日本作業療法士協会は「新生涯学修制度」をスタートするんですね。
これまでの従来の生涯学習制度との一番の異なる点は、、、
「登録作業療法士」の制度が新設されることだと僕は思います。
しかも学習から学修という名称も若干変更しています。
まぁそこは、意味があるんでしょうが、、本題は、、、
この新生涯学修制度に取り組むOTと、
面倒くさがって、取り組めないOTとの2極化がますます生じる可能性があることですね。
それはなぜか?ってことで、僕なりの考察を記事にしたいと思います。
ですが、今回の記事の殆どは僕の経験談になります^_^
従来の生涯学習制度とは?

一般社団法人 日本作業療法士協会 生涯教育 https://www.jaot.or.jp/continuing_education/
認定作業療法士になるためには、任意で日本作業療法士協会と各都道府県にある作業療法士会に加入する必要があります。
そのあとに各都道府県士会が主催する、現職者共通研修を10テーマ受講することと、そして現職者選択研修を2テーマ(そのうちMTDLPは必須)を受講する必要があります。
作業療法生涯教育概論
作業療法における協業・後輩育成
職業倫理
保健・医療・福祉と地域支援
実践のための作業療法研究
作業療法の可能性
日本と世界の作業療法の動向
事例報告と事例研究
事例検討 (事例検討会に参加する)
事例報告(事例検討会で発表をする)
MTDLP基礎研修 (必須)
身体障害領域
老年期領域
精神障害領域
発達障害領域
さらにさらに!
さまざまな勉強会やセミナー、学会などに参加して、OT協会が発行するポイントを50ポイント貯めていく必要があります。
これは、OT学生の臨床実習指導でスーパーバイザーをしたときも貰えます。
内容 | 取得ポイント数 |
実習指導者(短期実習) | 2ポイント |
実習指導者(長期実習) | 4ポイント |
全国OT学会に2日間参加 | 2ポイント |
各都道府県OT学会に1日参加 | 1ポイント |
各都道府県士会の活動に従事した | 最大2ポイント |
学会で発表した | 1ポイント |
その他の研修会に参加した | 1~4ポイント |
これは、もう細々としていますので、チリツモって感じで数年単位かかる印象です。
その他にも「作業療法」の学術誌に論文や研究内容の投稿して掲載されると4ポイントが付くなどありますが、これはレベル高めですね。
やはり継続的にOTとして学習し続けてポイントを取得していく必要があります。
ちなみに日本OT協会やOT県士会以外の団体が主催するセミナーや勉強会にもポイントが付く場合があります。
それは、SIG(special interest group)といって、非常に多くの団体があります。
ボバースや促通反復療法、PNFなどの手技的な勉強会も認定されていますね。
日本作業療法士協会 SIG等認定一覧
・現職者「共通」研修を10テーマ修了していること
・現職者「選択」研修でMTDLP研修とあとひとつの領域研修を修了していること
・基礎研修ポイントを50ポイント貯めること
僕のこれまでの歩みと内容
僕は2014年にOTになって、最初の就職を宮城県の急性期病院に入職したんですね。
そして、その年に日本OT協会と宮城県OT士会に入会しました。
それから10年が経過して、ようやく昨年2024年に基礎研修修了の手続きを行ったので、かれこれ10年くらいはかかった感じです(汗)
なので、これまでの歩みやその内容を思い出せる範囲で記載していきます。
ちなみに、当時は日本OT協会に加入すると、こんな感じで生涯教育手帳が配布されます。


いい感じでクタクタになっていますね笑
今は手帳ではなくて、OT会員特設のポータルサイトで、生涯教育の管理をしています。

今でこそデジタルなので、だいぶ楽になりましたが、当時はいろんな研修会に参加すると、ポイントシールを貰えたので、この手帳に貼ってから、
「いついつ」「どこの研修会」という記載をして、自己管理しないといけませんでした。これはこれで大変ですよね汗
共通研修は座学を受ける感じ
現職者共通研修に関しては上記にあるように10テーマあるんですが、、、
そのうちの「作業療法生涯教育概論 」から「事例報告と事例研究」までの8テーマは座学です。
1講座の時間は90分間でして、、、
しかも受講料は1,000円でした!!
なので、参加して全講義を受けるだけでもトータルで8,000円は費用がかかっていますね。
当時はZOOMなどのオンラインはなく、対面研修会が主流でした。

僕は仙台市にいたので、宮城県の医療系大学の講義室に東北地域の新人OTが100名ほど参加していたと記憶しています。
講師は県士会の理事の方々や大学や専門学校の教員の方々などでしたね。
8テーマを1日で受講するのでななくて、僕は3日間の数日に分けて受けました。
この講義では参加者のOT同士でのグループワークはなく、学校のような感じで、ただひたすら講義を受けるだけでした。
なので、「OTになっても、また授業を受けている」と思いましたし、眠たかった記憶があります
そんなこんなで、ただ講義を受けるだけなので比較的早い段階で8テーマは受講した感じです。


これは実際の生涯教育手帳だったときの研修を受講した内容です。
・8つテーマの講義を受講すること
・1テーマは90分の講義
・1テーマの参加費用は1.000円
・事例検討会では参加と発表がある
・全部で10テーマをクリアすること
第一の壁?!症例発表すること
講義を受講するだけだったり、観覧者として学会に参加するだけなら、全然大丈夫なんですが、、、
当時OT3~4年目の僕は、職場での症例検討会での発表も、めちゃくちゃ嫌でした(大汗)
って言うのも、職場での症例発表ですら、先輩や上司から、やいやいとフィードバックをもらい、重箱の隅をつつくように、ご指摘を受けるのが、ある種の風潮でしたので、、、
それはもう、県士会のなかで、しかも他病院のOTの前で発表なんざ、とてもとても大変ハードルが高かったです。
ですが、そんな時に転機が訪れました!!
転職をしてOT6~7年目の時に「コロナ禍」になったんですね。
そして、世間では3密を避けるために、ほぼすべての研修会がオンラインとなりました。
そうなんです。事例検討会もオンラインになったのです。
そこで、ドサクサに紛れて、僕はOT県士会の最初のオンライン事例検討会で、症例発表をしました笑
そこでは、専門学校のOT教員の方や県士会の理事の方々も参加していましたが、丁寧にアドバイスをいただけたことを覚えています。
発表内容としては、僕が担当した脳血管疾患の患者さんの高次脳機能障害に対するアプローチに園芸活動やその様子を日記にする内容だったと思います。
もちろん発表事前にはレジュメの提出がありました。
WordでA4の規格を2枚分。内容は【報告の目的】【事例紹介】【作業療法評価】【介入の基本方針】【作業療法実施計画】【介入経過】【結果】【考察】の指定がありましたね。

↑当時の案内メールです
そして、事例検討会の当日はパワーポイントでの発表でした。
気持ち的には、パソコンの画面越しでしたし、家からのリモート参加なので、人前で発表するよりも緊張感はなく、事例検討会に臨めたことを覚えています。
まぁそんなこんなで、ちょっと勇気を出して、現職者共通研修の10テーマをクリアしました!

・事例検討会では指定されたフォーマットがある
・OT教員や理事など事例検討会にはアドバイザーがいる
・発表はパワーポイントで行った
・発表と参加で2.000円の参加費がかかる
現職者選択研修とは?

現職者選択研修では、MTDLPの基礎研修が必須になっています。
当時は、日本作業療法士協会がMTDLPを開発したばっかりであり、しかも通所リハビリテーションでの介護保険での加算項目にもなりましたので、
OT協会が全力で推している研修でした。
そんなこんなの流れもあって、当時3年目の僕は職場の先輩OTとMTDLP基礎研修に参加しました。
確か、、1日がかりの研修でしたし、宮城県内から多くのOTが参加していて、グループワークもありましたね。
MTDLPの概要や各シートの活用、面接の実践方法などを実技も交えながらの研修でしたので大変だった覚えがあります大汗
そして、次は、、選択研修なので、「身体障害、老年期、精神障害、発達障害」の4領域から自分の興味関心のある領域を選択します。
僕は総合病院に勤務していますので、身体障害領域を選択しました。
そしてこれもまた、オンライン研修会の恩恵を受けました。
これまでは、各都道府県単位で、この現職者選択研修会を開催するので、
自分の住んでいる地域で開催されるまで、待つ必要がありましたし、ましてや興味がある領域の開催では、申込みが多くなると抽選となるので、なかなか大変だったと聞いたことがあります。
が、またしてもコロナ禍でしたので、縁もゆかりも無い茨城県作業療法士会主催の現職者選択研修会に参加できました!

↑当時の案内メールです。
研修時間は朝9時からお昼を挟んで、夕方の16時まで講義を受ける感じです。
ちなみに参加費は4.000円でした。

こんな感じで、身体障害領域の中でも、急性期から生活期まで幅広く、身体障害の作業療法について学んだ感じですね。

そうして、OT8年目にして基礎研修は一通り終えた感じです。
・MTDLP基礎研修会への参加は必須
・選択研修会は他県でも参加可能
・参加費用は4.000円
・1日かかる研修会である
どうやってポイントを集めたの?
僕がOTになった当時は何かしらの研修会や学会やらに参加したら、ポイントシールが貰えたんですね。
そんで、そのポイントシールを生涯教育手帳に、チマチマと貼って管理する必要がありました。
1つの研修会で1ポイントとかですね。
2日間の全国学会ですと2ポイントって感じです。
まぁ、どれも参加費用がかかるのは確かです。自己研鑽ってやつです。


ですが、時代はデジタル式になってきていて、OT協会としても手帳で管理するのは大変だったのでしょう。
そこで、今まで獲得したポイントを個人のポータルサイトに移行する手続きが必要になりました。
その時は確か、、、
集めたポイントを手帳に貼ってプリンターなどでスキャンして、、、
データ化してからOT協会に確認のメールをしたと思います。
そんで、いつのどの時なのか?まったく、身に覚えのないポイントも取り敢えず、手帳に貼って申請したと思います笑
んで、僕は現職者研修を修了していましたので、自動で20ポイントが貰えました。
これまで参加した研修会やセミナー、学会、実習指導者などなどで、トータル80ポイントくらいにはなっていました!

今ではこんな感じで、何かの研修会に参加したら、ポータルサイトで自動でポイントを管理してくれます。
まぁ、ポイントは一気に集めることは難しく、学会発表や症例検討会のファシリテーター役を努めても4ポイントなので、
実際は時間をかけて、いろんな研修会に参加して自己研鑽しながら、塵も積もれば山となるって感じですね。
・生涯教育手帳のポイントシールはポータルサイトへの移行が必要
・基礎研修が終了すると自動で20ポイントもらえる
・OTの学会や研修会に参加することで1~2ポイント獲得できる
・実習指導者(スーパーバイザー)は2~4ポイント獲得できる
そして基礎研修修了者となった

OTになって、なんやかんや10年かかりました~~
そして有効期限もあり、それは5年間です。
なので、僕は決めました!!
「よし!認定作業療法士を目指すときが来た!」
また、5年の間に50ポイントをチマチマ集めるのは、正直シンドいです笑
それよりも、もう一段階ステップアップして、日本OT協会が認めた、認定作業療法士となり質を担保したいと思います。
あとは、給与で考えたら、今の会社は認定作業療法士になることで手当もつけてくれます。ありがたや~
なので、トータルで考えると年収も上がります。
ちなみに、基礎研修修了の手続きとしては、すべてポータルサイトで行います。

ポータルサイト内の生涯教育から、各種申請の「基礎研修修了」の手順を踏んで、、

最後は、ボタンをポチポチっとクリックするだけです。

あとは、申請して数日で承認を得ました。
そんで、日本作業療法士協会からメールか何かで「基礎研修修了証」のデータを頂きます。
・現職者共通研修10テーマが修了していること
・現職者選択研修会でMTDLP研修ともう一つ領域別研修が修了している
・基礎研修50ポイント獲得していること
・会員ポータルサイトで基礎研修修了の手続きを行うこと
・基礎研修修了証の期限は5年間である
これからのOTは、「選ばれる時代へ」
2025年。この記事を書いている、この時に日本作業療法士協会は新しい「生涯学修制度」をスタートさせます。

概要はサイトをご覧ください~
日本作業療法士協会 新生涯学修制度
https://www.jaot.or.jp/continuing_education/shinsyogaigakusyu2025
日本OT協会としては、従来の生涯学習制度を受けているOTは、、
「2026年度までには基礎研修を修了しましょう!」と呼びかけています。
つまり、現在のOTは、2027年3月までに、基礎研修修了者とならないと、
これまで参加してきた研修やポイントなどが「おじゃん」になる可能性があるかもです。
でもこれは、まだOT協会誌などに明記されていませんので詳細は分かりません。
あくまでも呼びかけている段階です。
そんで、ここからは、認定作業療法士になる意義を、僕なりの考察で記載します。
日本作業療法士協会は「職能団体」です。それは、作業療法士という専門職が運営している団体であり、僕ら(いち個人のOT)を代表して、OT協会が様々な関係団体や政府との交渉、作業療法士の地位確立のための研究、エビデンス構築などいろんな事に貢献しています。
私たちが診療報酬や介護報酬、保険診療に守られて仕事をしていることも、職能団体のおかげと言うこともできます。「覗いてみたい!?先輩OTの頭の中~臨床のリアルに触れる~」
あとは僕の予想ですが、、
2000年代前半にリハビリテーション養成校が乱立したんですね。
そして、爆発的に理学療法士と作業療法士が増えました。
社会的にも日本は高齢化が進んでいますので、リハビリテーションの需要は高い状態だったんですね。
一方で、リハビリテーションの専門学校に入校することは、結構簡単です。
あとは臨床実習をクリアして、国家試験を頑張れば、それとなく作業療法士になれてしまう現状があります。
つまり、作業療法士の質が不動的であり、OTの人数が増えれば増えるほど、OT個人の能力はピンキリ状態になってしまいます。
なので、OT協会としてもOTの質担保に危機感を覚えて、今回の登録作業療法士の制度をスタートさせたのかなぁっと勝手ながら僕の憶測があります。
ゆくゆくはOT協会からも国会議員が選出されて、国の診療報酬制度にも携われるようになれば、、、
今度は、認定作業療法士がリハビリをした場合は加算が付くなどの条件が出来る可能性があると予想します(たぶん)。
あくまでもいち個人の感想ですよ。
自分の職場のリハビリテーションの現場を見ていても、養成校を卒業して国家資格を持っているはずの、1年目PT、OTはまだまだ基礎的な検査測定からできないことが多いですし(かつては僕もそうでした)
そのまま自己研鑽せず、経験年数を重ねてしまうと、それは痛い存在です。
そんな何者でも無い作業療法士のリハビリと、自己研鑽を重ねた認定作業療法士のリハビリテーションが同じ診療報酬なんですね。現状では。
だけれども、この新生涯学修制度が確立してきて、数年後にOTの国会議員が出てきて。などなどの条件が揃ってきた頃には、、
診療報酬改定で認定作業療法士に加算がつくなどの動きがあるかもしれません。
そうなると、ある程度の年収(500万以上?)で働ける認定作業療法士と、
なんにも自己研鑽の実績がない、底辺作業療法士の2極化が生じると考えます。
だからこそ、今のうちから、選ばれる作業療法士の時代に備えて意味のある自己研鑽を心がけることが大切かなっと思っています。
