令和6年度の診療報酬改定で、当院のリハビリテーション部署の収益の目玉となっているのが、急性期リハビリテーション加算と「リハビリ・栄養・口腔連携加算」です。
急性期リハビリテーション加算については、リハビリスタッフへの教育やICU・HCUで行ってる「早期離床リハビリテーション加算」との兼ね合いもありますので、、、
これはこれで、まあ 再検討が必要な事案でしょう。
そんで、問題はこの「リハビリ・栄養・栄養・口腔連携加算」の話でして、、、
多職種、そして他部署が大いに絡み合う、その名の通りの連携が必要な取り組みなんですね。
令和6年(2024年)の6月から当院でも取り組み始めたばっかりですが、、、
まあ~~~~
いろいろと課題がありますわなwww
今回の記事は、多職種連携や院内のマニュアル整備について記載しました!
それは急性期病院での入院療養の課題が原点となった
日本は超高齢化社会になりました。
とりわけ救急医療を扱う急性期総合病院では、高齢者の脱水や肺炎などの軽度の症状で入院しても、、、
・絶対的な介護、看護師のマンパワー不足
・リハビリテーションの提供量の少なさ
などなどの現実問題があります。
そのため、
軽症で入院して数日間の検査や点滴、投薬などで、軽症疾患そのものを治療出来たとしても、、、
・臥床傾向が過多となってしまい、在宅生活と比べて活動量が低下する。
・耐久性が乏しくなり、ADL低下をきたす。
・廃用進行となり、さらなる介護が必要となる。。。
治療のための入院が、逆に入院による活動性低下が廃用進行を招き、介護が増してしまう悪循環が生じてしまうケースが、これからもっと多くなるであろうと予測されました。
そこで、その安静臥床による介護度の増加を防ぐための対策の一つとして、、、、
リハビリテーションと栄養管理と口腔管理を一体的な取り組みとして評価する加算が新設されました(120点)
リハビリ・栄養・口腔連携加算とは?
ざっくり言うと、、、
急性期医療におけるADLが低下しない取り組みを推進するため、リハビリテーションと栄養管理、口腔管理をより連携していきましょう!!
という内容になっています。
PT-OT-ST.NET「https://www.pt-ot-st.net/contents4/medical-treatment-reiwa-6/department/2237」
この連携加算に関わる職種としては、医師、必要に応じて歯科医師、看護師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のメンバーです。
そして、それぞれの職種が該当病棟に入院した患者さんを48時間以内に評価して、早期に取り組みを行えるように計画を立案します!
この該当病棟への入院から「48時間以内」というのが、タイムリーに取り組みを行うための施策だと思いました。
しかし、まぁ忙しくなりますよ~ どの職種も。
あとは、施設基準としては、急性期一般病棟がメインとなりますので、ICUやHCUなどの特定集中治療室ではこのリハビリ・栄養・口腔連携加算は算定できません。
リハビリテーション職としての役割は?
この連携加算が開始したことで、リハビリスタッフのマネジメント力がより明確に求められうようになったと感じています。
それは、なぜかと言うと、、
・該当病棟に入退院した全患者さんのADL能力の確認を行うこと
・廃用進行や転倒リスクが懸念されたら病棟スタッフとADL設定を行うこと
・必要に応じてADLが維持向上の為の動作指導を行うこと
これらは、リハビリオーダーが出ていない患者さんへの介入も含まれていますし、病棟全体を俯瞰的に把握して、看護師や介護士へのADL支援のレクチャー、生活設計などを取りまとめる能力が必要なってきます。
普段から、リハビリの時間だけ、離床して、運動して、
リハビリが終わったら、自室のベッドに横なる
って言う、リハビリのためのリハビリ時間ではなくて、
病棟生活をトータルで考えて、患者さんのADLを支援することです。
具体的には、、、
・食事の際は離床してシーティングした方が食べやすい。そのため、病棟スタッフと一緒に取り組む
・失語症で訴えは乏しいが、排泄は時間ごとに誘導すると失禁することなく可能になる。
・歩行器を使用したら歩行が安定するのて、自室からデイルームまでは遠位見守りでフリーにして、適宜声掛けしましょう
などなど、こういったリハビリ室だけのリハビリから、
より病棟生活での能力に関心を向けて、多職種と連携する必要があります。
大組織という名の看護部
看護部。。。
それは、400床を超える当院においては、一大勢力を誇る大組織です。
看護スタッフだけでも、600名を従える大所帯ですよ。
その看護師さん達に動いてもらうということは、どうも一筋縄ではいかないと痛感しました(笑)
一つの取り組みに関する意思決定事項についても、
看護部長もしくは看護副部長、そして看護師長(全員で12名くらい)、その後に看護主任(全員で14名くらい)っと
看護部長やいち病棟の看護師長に、個別に伝えたとて、、
その内容を全体の看護部、つまり、それぞれの看護部長、看護師長会、看護主任会に、個別具体的に、僕らから伝えないと行けないという、組織体系になっています。
まあ組織的といえば組織的。いち看護師長の決定権というよりも、看護部の総意が必要という構造になっているので、
今回のリハビリ栄養口腔連携加算のスタートも、準備に時間がかかりました。
僕的には数的優位に立つ看護部というのは、ある意味では医局よりも絶対的な存在なんだなぁと思いました。
厚労省よ。ネーミングセンスが微妙なんじゃぁぁぁ
この「リハビリテーション・栄養・口腔連携加算」が創設された由来は、、、
入院に伴う臥床傾向過多の廃用進行を予防しましょう!
リハビリと、栄養と口腔管理を一体化しましょうって感じですが~
名前の始めにリハビリテーションが入っているもんですから、
院内スタッフの認識はリハビリ関連の加算だと思っています。(東京にない東京ディズニーランド的な)
なので、この連携加算を進めるにあたっても、リハビリへの問い合わせが多いんですよね。
なんかこう、別のね、ネーミングとしては、、
・ADL連携加算
とか
・フレイル予防連携加算(これはウチの先輩が考えた名前)
とか
。チーム医療連携加算
とか
そのほうが、いちリハビリスタッフとしては名前の重圧、責任の所在がまんべんなく多職種に広がると思いますよ。
持続可能な取り組みを行っていくために
何やかんやで、多職種(医事課、看護部、栄養士)とミーティングを重ねて、
全体としての動きを取りまとめて、それぞれの役割をフローチャートとして作成しました!
当院は400床の総合病院で全部で12病棟ありますが、今回のリハビリ栄養口腔連携加算の対象となった病棟は、脳神経外科と循環器内科の2病棟です。
その2病棟への入院。そして退院(もしくは他病棟への転床)した場合のフローです。
まずは、該当病棟に入院したケースのフローです!
①該当病棟に入院した際は、まず始めに看護師が入院の手続きを取りますので、病棟リーダーもしくは担当看護師が評価計画書を立ち上げます。
②その次にリハビリの専任or専従はリハビリオーダーの有無にかかわらず、患者さんのADL状態を把握するべく、身体機能やADL評価を行います。
③同じタイミングで担当の管理栄養士も48時間以内に対面での栄養、食事評価を行うこととなっています。
④そうして、3職種が48時間以内にそれぞれの評価、計画書の記載を行います。
⑤そして、その評価と計画を元に週に1回は医師も交えてカンファレンスを実施します。
このリハビリ栄養口腔連携加算の取り組みは一つの病棟をひと単位(いちユニット)として、
入棟から退棟までをシームレスにADL支援する取り組みであり、
退棟(退院もしくは他病棟への転床)した際も再評価が必要となります。
このようにして、それぞれの職種がタイムリーに評価と介入を行い、
定期的な情報共有を図ることで、患者さんの入院に伴う臥床傾向過多の廃用進行を予防していきましょう!
っと言う流れや意識付けは出来つつあります。
あとは、形だけの取り組みにならないよう、普段から多職種間でコミュニケーションを図り、それぞれの職種へのリスペクトを心がけて、共同プロジェクトとして、持続可能なADL支援になればと思います。