認知症ケア専門試験はWEB形式の1次試験と小論文を作成する2次試験の構成になっています。
今回は小論文を作成する2次試験の内容と合格するための文章作成の主な考え方などを紹介していきます!
細かい文字数や用紙の選択、提出方法などは別の記事を参照してください~
2次試験の小論文作成に関しては、3つの事例問題が提示されます。
施設に入所している事例の問題
在宅生活をしている事例の問題
行動制限を考える倫理に関する事例の問題
それぞれ、状況や関わる人物、キーマン、環境などが変わってきます。
それでも、もし自分が認知症ケア専門士だったら!?
っという視点で、アセスメントして適切なアプローチやアドバイスを心がけましょう!
施設へ入所。それでも生活はその人それぞれ。それでもあなたはどうしますか?
・設定:70歳代女性 アルツハイマー型認知症 車椅子レベル
・キーパーソン:息子
・個人因子:他者との交流は苦手
・背景:入浴拒否があり3週間ほど入浴していない
・過去に「お風呂は好きです」との発言あり
状況としては施設入所中で入浴介護を拒否している症例です。
そのため、入浴拒否の傾向や理由をアセスメントする必要があると考えます。
具体的には、身体機能や感覚機能などを評価して症例にとっての適正温度や入浴時の姿勢、疲労を感じない程度の入浴にかかる所要時間など確認する事が大事になります。
また、そういった評価を入浴介護するスタッフ間で情報共有することで連携を図ります。
そして、キーパーソンである、息子さんからは入浴に関する情報を収集することも大切と考える(温泉や入浴剤、シャンプー、ボディーソープなどの趣向など)。
例えば、温泉が好きであったのであれば、温泉の話題を本人に語ってもらうことで入浴に関心を向けることや好みの入浴剤、シャンプーなどがあれば、嗅覚からのポジティブな良い刺激を与えられると思われます。
入浴行為は清潔を保つためにも必要なセルフケアの一つですが、施設スタッフの都合に合わせたケアにならないように注意が必要です。
ここでの考え方としては、、、
・アルツハイマー型認知症によって、身体機能や感覚機能の変化を評価すること
・キーパーソンから本人の趣向や生活歴を聴取すること
・入浴のアセスメントをスタッフ間で情報共有すること
老々介護はきっと身近な課題。住み慣れた地域での暮らしと認知症
・設定:80歳代男性 アルツハイマー型認知症 要介護2
・既往歴:大腿骨頸部骨折
・サービス:ホームヘルパー週2回利用
・キーパーソン:70歳代の妻 同居
・個人因子:元々、友人や妻との登山や写真、旅行などが趣味であった
・背景:夜中に疼痛の訴えあり
状況としてはヘルパーを利用しながらの在宅生活の症例です。
日中は自力で移動してセルフケアは概ねできてはいますが、夜間時痛の影響から妻の介護負担が大きくなりお互いしんどい状況となってきたという感じですね。
ここでのアセスメントとケアプランの考え方としては、、、
社会サービスの活用とインフォーマルなサポートを依頼して、症例と妻が希望されている在宅生活の継続を検討が大事になります。
認知症ケア専門士としては、安易に施設入所を進めるのではなく、
活用できるサービスを模索する視点が必要です。
具体的には、元々は登山や旅行などアクティブな趣味があるため、介護保険を活用してデイサービスでのレクリエーションや趣味の写真、外出機会を促し社会参加へと繋げることが大切であると考えます。
また、筋力低下などのサルコペニアのリスクに対しては、通所リハビリテーションを利用することで、リハビリ専門職によるアプローチが受けられ心身機能の維持を図ることが必要です。
そうすることで、活動機会の増加や心身機能の維持が可能となり、生活リズムを構築することによって、睡眠の改善が図れ、夜間時痛軽減へ繋がるプランニングが大切と思います。
そして、インフォーマルなサポートとしては、以前は交流のあった友人が症例宅へ訪問することで、妻の支えや症例の交流関係の繋がりの継続が期待できると考えます。
こういったサービス調整などはケアマネジャーが行う業務ですが、認知症ケア専門士として、本人や妻の思いを汲み取り、各担当者へ働きかける事が大切になります。
認知症の人の尊厳とはなんぞや?職場スタッフの本音と建前
・設定:80歳代男性 レビー小体型認知症 車椅子レベル
・環境:特別養護老人ホームに入所中
・身体機能:歩行は2~3歩可能もふらつき著明
・コミュニケーション:簡単な挨拶程度のやり取りは可能
・個人因子:レクレーションへの参加は消極的
・背景:夕食後に立ち上がり転倒する事故が生じた。そのため複数のスタッフが抑制ベルトの着用を検討している
状況としては、施設入所で車椅子レベルの症例が立ち上がり時に転倒した事例です。
ここでの考え方としては、転倒事故が生じた実態把握と分析が必要です。
そして、事故の対策が車いすベルトを装着するという、スタッフの発想が身体拘束になっていることへの懸念がありますので、認知症ケア専門士としては、スタッフへの意識改革も必要ですね。
まず、転倒事故のアセスメントとしては、一日中、車いすに乗り活動しているため、長時間の車いす座位は下肢不動による圧痛や腰部痛となりやすいです。そのため、定期的な除圧や介助下での立ち上がりが必要になります。
また個人因子としては、レクレーションへの参加は消極的なので、集団活動は強要せず、デイルームというオープンスペースな場での個別活動を一緒に見つけることやスタッフが遠目でも気にかけて見守ること、声掛けを増やすなどの姿勢が大切です。
スタッフへの意識改革に関しては、転倒事象を全体で話し合う機会を設け、その対策が身体抑制よりもパーソン・センタード・ケアに沿った考え方になるように対話をしていくことが大切です。
具体的には症例の人としての尊厳を基本に、自由と安全の保障を検討しながら、抑制は権利侵害に該当することを丁寧にスタッフへ伝え、多職種の協働のもと対応を共有していくことが重要ですね。
まとめ
基本的には1次試験の内容を網羅している必要があり、自分が認知症ケア専門士になったつもりで記述しましょう。
特に大事な考え方としては「パーソン・センタード・ケア」の概念がベースとなっています。迷ったら立ち返るべき考え方ですね。
対象者はあくまでも認知症の事例の方ですが、その取り巻く環境やスタッフ、家族なども認知症ケア専門士として、「何かできることはないかな?」と解決策を施策することが大事です。
また、寄り添い一緒になって考えることは、その認知症の人の少し先の未来も考えてあげる存在になることが、認知症ケアのマインドだと思いました。
少し先の未来というのは、その認知症の人にとってのQOLや生活ですね。
基本的に絶対的な正解はないので、マニュアル通りのプランだけでなく、自分色の考えも提案できるとより質の高い論述になると思います。