【沖縄の運転再開支援】支援の輪を広げ、安全な運転再開を目指す!|ちゅら島の移動を考える会 第3回対面研修会【第1部】
2026年10月12日(月・祝)、名護自動車学校にて「ちゅら島の移動を考える会 第3回対面研修会」を開催しました!
今回の研修会には、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、自動車学校の指導員など、異なる専門性を持つ方々が参加してくださいました。
特に今回は、言語聴覚士の初参加に加え、カデナ自動車学校や糸満自動車学校からもご参加いただき、支援の輪がさらに広がる機会となりました。
そして、今回の研修会を通して個人的に感じたことがあります。
それは、これまで少しずつ積み重ねてきた活動が、確実に前に進んでいるのではないか、ということです。
今回は、この研修会の様子や活動に込めた思いを、全3回に分けて紹介していきたいと思います。

なぜ、運転再開支援に多職種の連携が必要なのか?
沖縄県では、自動車は日々の暮らしを支える大切な移動手段です。
買い物や通院、仕事、家族の送迎など、運転は生活のさまざまな場面につながっています。
しかし、脳卒中などの病気によって身体機能や高次脳機能に障害を呈すると、それまで当たり前だった自動車の運転が難しくなることがあります。
「もう一度、自分で車を運転したい」
そんな患者さんの思いに、私たち医療者はどのように向き合えばよいのでしょうか。
運転再開支援では、身体機能や高次脳機能の評価だけでなく、実際の運転操作や交通状況への対応など、さまざまな視点が必要になります。
そして、それらを医療者だけで判断することには限界があります。
自動車学校の指導員、医師、運転免許センター、リハビリテーション専門職など、それぞれの立場だからこそ見える課題があります。
だからこそ、異なる専門職が互いの専門性を理解し、協力し合うことが、安全な運転再開支援につながると考えています。
2019年から始まった、ちゅら島の移動を考える会
私たちの連携は2019年から始まりました。
途中、新型コロナウイルス感染症の流行によって対面での活動が難しい時期もありましたが、オンライン会議などを通じて交流を継続してきました。

そのなかで、医療機関から自動車学校へ患者さんの情報を伝える「情報提供シート」の作成など、現場で活用できる取り組みも積み重ねてきました。



https://drive.google.com/file/d/14mTb8CUW-4GcCJXjTdAYryqc9I4_mqzJ/view?usp=sharing
ちゅら島の移動を考える会 推奨 情報共有シート
そして、2024年には津嘉山自動車学校で初めての対面研修会を開催。

2025年には沖縄リハビリテーションセンター病院で、事例検討会や公安委員会の方による講義などを行いました。

そして2026年。
今回の第3回対面研修会は、名護自動車学校を会場に開催することができました。
一つひとつの取り組みは小さなものかもしれません。
しかし、活動を続けるなかで、少しずつ顔の見える関係が広がってきたことをうれしく感じています。
3年前に描いていた未来が、少しずつ現実に
実は、2023年の第18回沖縄県作業療法学会で、運転・外出サポート班の活動を紹介する機会がありました。
当時の発表テーマは「あなたもできる!自動車運転再開支援」


そのなかで、今後の展望として掲げていたのが、運転再開支援に関わる多職種・多機関の連携でした。
作業療法士だけでなく、言語聴覚士、自動車学校、運転免許センター、高次脳機能障害支援に関わる機関などが、それぞれの専門性を持ち寄りながら連携する。
そんな支援体制の構築を目指していました。

あれから3年。
今回の研修会では、言語聴覚士が初めて参加し、カデナ自動車学校や糸満自動車学校からもご参加いただきました。
そして、異なる専門職が同じテーブルを囲み、患者さんの運転再開支援について意見を交わしている。
「あのとき描いていたことが、少しずつ現実になってきているなぁ」と思える瞬間です!
もちろん、まだまだ課題はありますし、県内全域で十分な支援体制が整ったわけではありません。
それでも、当時は構想として描いていた多職種連携が、実際の活動として少しずつ広がっている。
今回の研修会は、そんな手応えを感じられる機会となりました。
電話や書類上の関係から、顔の見える関係へ
今回の研修会では、医療職による講義やグループディスカッション、実車評価体験などを実施しました。
午前中は身体機能障害や失語症、運転再開事例について学び、医療者と自動車学校の指導員がそれぞれの視点から意見を交換。
午後には実際の教習車を使用したプログラムを通して、運転操作や評価の視点について理解を深める機会となりました。



これまでは、医療機関と自動車学校の間で、電話や情報提供書を通じて運転再開支援に関するやり取りを行うことが多くありました。
もちろん、そうした情報共有も大切です。
しかし、直接顔を合わせて話し合うことで、普段の業務ではなかなか知ることのできない、お互いの考え方や現場での困りごとに触れることができます。
例えば、医療者が普段行っている評価について、自動車学校の指導員はどのように捉えているのか。
反対に、自動車学校で行われている実車評価を、医療者はどこまで理解しているのか。
そうした疑問を、同じテーブルで率直に話し合えることに大きな意味があると感じました。
そして、顔の見える関係ができることで、次に困ったことが起きたときにも「そういえば、あの人に相談してみよう」と思えるかもしれません。
こうした小さなつながりの積み重ねが、沖縄県の運転再開支援を支える土台になっていくのかなと思います
誰かと誰かをつなぐ。それが僕の役割なのかもしれない
今回の研修会を終えて、個人的に一番うれしかったことがあります。
それは、自分自身がコーディネーターとなって、この活動が少しずつ前に進んでいると感じられたことです。
医師と運転免許センター、自動車学校の指導員をつなぐ。
言語聴覚士と自動車学校の指導員が関わる機会をつくる。
そして、普段は接点の少ない専門職同士が、お互いの専門性を理解するきっかけをつくる。
それぞれに専門性や立場は違っていても、目指している方向性は一緒なのだと思います。
患者さんの社会復帰を支えたい。
安全な運転再開につなげたい。
そして、沖縄県の安全な交通社会に貢献したい。
僕自身、一人の作業療法士として、すべての専門的な課題を解決できるわけではありません。
でも、それぞれの専門職が持っている知識や経験をつなぐことはできるかもしれません。
一人ではできないことも、誰かと誰かがつながることで、少しずつ実現できる。
そんなことを、今回の研修会を通して感じました。
これからの沖縄の移動支援に向けて
ちゅら島の移動を考える会が目指したいのは、運転再開を希望する方が、住んでいる地域や相談する医療機関によって支援の機会を大きく左右されることなく、適切な相談や評価につながれる環境です。
もちろん、運転再開支援の目的は、すべての方が再び運転できるようになることではありません。
ご本人の希望を大切にしながら、必要な評価を行い、安全面から運転再開を見送る場合も含めて、その人らしい生活や移動手段を一緒に考えることが大切です。
これは、2018年に活動を始めた頃から大切にしてきた「運転だけでなく、移動という生活行為そのものを支える」という考え方にもつながっています。
そのためにも、医療機関、自動車学校、運転免許センター、そして地域の皆さんとのつながりを、これからも広げていきたいと思います。
今回の研修会にご協力いただいた名護自動車学校、津嘉山自動車学校をはじめ、ご参加いただいたすべての皆さまに感謝申し上げます。
支援の輪を広げ、安全な運転再開を目指す。
2023年に描いた未来の、その先へ。
これからも、沖縄の移動支援について皆さんと一緒に考え、少しずつ前に進んでいけたらうれしいです。
次回の第2部では、今回の研修会で行われた身体機能障害や失語症に関する講義、運転再開事例、グループディスカッションの内容をご紹介します。



